P-MODEL
結成20周年プロジェクト「音楽産業廃棄物〜P-MODEL OR DIE」
ライヴツアー東京公演初日
1999年10月4日渋谷ON AIR WEST

チラシ
ライヴでも配られた「音廃」チラシ

出演
平沢進(P-MODEL)
小西健司(P-MODEL)
福間創(P-MODEL)


 
 

第壱幕 ぴあ、最後尾

私にとって、初のP-MODELライヴに行ってきた。しかも、初の二日連続参加である。先の平沢進ソロ・ライヴ『Live- Phonon』と同じく、場所は渋谷。今回は、ON AIR EAST正面のON AIR WESTで行われた。同じ渋谷だからと高をくくっていたら、また迷子になってしまった。会場19時に人と待ち合わせをしていたのだが、まんまと遅れる。

駆け足で会場に着いたのは、19:15分頃。すでに、整列が行われ、入場が始まっている。なんでも、FLIP SIDEチケットの方が優先らしい。ファンクラブ優先ということなのか。FLIP SIDEチケットの人が9割方で、ぴあチケの私は、ほとんど最後尾で入場となった。なんだかなー、である。
 



第弐幕 機材、いっぱい

会場に入ると、サトケンさんの声による指揮の下、すでに「Virtual Live-2,3」にて使われる予定の、観客の声録りが行われていた。ΔP集会を思い出す。サトケンさんによると、今回このように会場及び開演時間が遅め だったのは、サラリーマンも来られるようにとの配慮であったらしい。最後尾で入場のため、かなり後列に陣取らざるを得なかった。会場は満員である。なんと か中央に場所がとれたが、前方には長身の男性が二人いて、ステージ左手がほとんど見えない。会場は、EASTより若干狭いようだった。ほぼ正方形で、天井 が結構高い。ステージ上には、「救済の技法」を思わせる、赤い垂れ幕が3本並んでいて、三角形にカットされたその中央のヤツには、例の骸骨がCDにリサイ クルされるイラストが描かれている。

機材は、ソロライブより若干大がかりである。ステージ向かって左手後方には、シーケンサーと思われるでっかい機器がそそり立ってい る。AKAIのサンプラーなんかもある。ステージ中央は平沢さんの立ち位置で、JP-8000と、その上にノートPCが置いてある。後方には、 PHOTONが一本立てかけてある。向かって右手が福間さんコーナー。JP-8000や同RolandのMC-なにがし等たくさんある。左手は小西さんの 仕事場。同じくJP-8000とKORGのキーボード、エレキベース、道頓堀1号やらがある。ステージ後方には、やや小型のスクリーンが二つ並んでいる。
 



第参幕 歓喜の、叫び


声録りが終了し、開演時間の20:00を若干過ぎると、客電が消え、最初の曲に続くリズム音が鳴り始める。照明やらスモークやらが 変化し続けるも、なかなかメンバーが出てこない。暫くすると、ENOLAの時のような緑の防菌服を来た謎の人物が、廃棄物センサーという設定の棒っきれを 持って現れた。幾つかの機材に黒いゴミ袋をかぶせた後、その上からハザードマークを張り付け、客に向かって「バツ!!」とジェスチャーする。そうこうする うちに、飛行機が飛び交う音がしてくる。謎の人物は、この音に恐れをなして逃げていった。

程なくして、福間、小西、平沢の順にメンバーが登場した。皆PR写真と同じ黒服で、腕に赤い腕章を付けている。最初の曲は、「論理 空軍」である。後ろの二つのスクリーンには、「論理〜」のビデオ・クリップが流れる。「あーーっ!!」と叫ぶ箇所では、平沢さんは大口を開けてシャウトし たのだが、この時すごく嬉しそうな表情をしていたのが、大変楽しかった。叫び終わるとすぐ、クールなお顔に戻るのがまたなんとも良かった。間奏では、デス トロイをすると踏んでいたのだが、しなかった。この曲ではギターはなし。

2曲目は、「ENOLA」。小西さんは、道頓堀一号をチャカチャカと奏でていた。ティンパニーパートでは、平沢さんはJP- 8000を拳で叩いた。この曲に限ったことではないが、平沢さんは、おそらく歌詞が映し出されているのであろうノートPCに視線はほとんど釘付けで、「も しこのPCが曲の途中でトラブったら、一体どうなってしまうのだろうか」、と心配してしまった。

3曲目は、「Ancient Sound」。確かギター入りだった。デストロイをかましたような気がする。4曲目は、「ローレシア」。小西さんはベースを弾いていた。平沢さんは、前に 出てきて、かっちょ良いデストロイをかました。やはり、平沢さんのデストロイ・ギターは最高だ。平・Pライブの大きな醍醐味の一つだ。激しいアクションな のだが、荒っぽいわけではなく、円熟した年齢ならではの、気品みたいな物がある。流れるような動きは、「舞」の様でむしろ優雅でさえある。
 



第四幕 音量、落とせ

この後、一回目のMCが入った。「こんばんは、P-MODELです。」というお馴染みの文句から始まって、「論理〜」のクリップを 作ってくれた大和久という方の紹介、20周年を迎えて益々元気であることなどを述べた。あの戦闘機はユンカースという名前らしい。細かい型番を、観客に 突っ込まれる場面もあった。「では、次の曲です。」と結び。

5曲目は、「BA-DA-DHA」。私からは見えなかったのだが、小西さんの、『お祈りパフォーマンス』があったようだ。6曲目 も、「電子悲劇/~ENOLA」からで、「Spiritus」。確か、イカしたデストロイがあった。7曲目は、「Waste Cabaret」。8曲目は、「BOGY」。ローボイスの部分は、福間さんが歌っていた。9曲目は、「FUNE」。お三方とも、イントロでは、オールを漕 ぐような素振りをした。小西さんに至っては、前に出てきて、「○○に航路を取れ」の時には、その方向を(?)指さして揺らめいた。

10曲目は、「Mind Scape」。11曲目は、「Rehash」。「イヨーッ!」の部分や、グロトロ張りの木遣りも生で歌っていた。12曲目の、「衛星ALONE」の頃にな ると、穏やかな曲が続いたため、会場はちょっぴりしっとりムードになった。平沢さんは、マイクの音量が芳しくないらしく、スタッフにひたすら音量を落とす ようにとのジェスチャーをしていた。13曲目の、「Moon Plant-II」でも、そのジェスチャーは続き、なかなか改善されなかったのか、最後には首をひねる風にしてあきらめてしまった(?)。

14曲目は、「Colors」。15曲目は、まだ演っていなかった、「回収船」。ノリノリムードが帰ってきた。16曲目の、 「Layer Green」では、ちょびっとデストロイがあった。17曲目は、「Rocket Shoot II」。イントロの歌が変にハモっているように聞こえた。18曲目、「Heaven2000」では、フルでデストロイがあった。小西さんは再びベース。
 



終幕 愛されたい’99

ここで二回目のMC。「同じ事をやるのはつまらないので、ない知恵を絞って、追加公演ではVirtual Live-2,3あたりの古い曲をやろうかと、メンバーと相談中です。」とのこと。そこいら辺ももちろん聴きたいが、解凍二作からも是非ともやってほし い。「では、本日19曲目の最後の曲です。」、「えーーっ!?」、「やかましい」。今回の「やかましい」は、気持ちがこもりつつも、一方で気が抜けたよう な、絶妙な物だった。

19曲目は、快活なノリで「DUSToidよ歩行は快適か?」。イントロの後半部分では、平沢さんは、じゃん、じゃんと一々後ろに 飛び退いて、おもしろかった。右手を挙げての、「はい」には会場大喜び。タイミングもばっちし。この曲が終わると、もう一度「はい」ポーズを取ってメン バーいったん退場。

アンコールは、「ASHURA CLOCK」。このデストロイは、スタートが秀逸だった。右手下方に低く構えたギターを一度「ビタッ」と静止させてから、ギュイーンと上方にポルタメント していったのだ。

客電がつき、客出し曲も流れ、多くの人がドリンク飲んでから帰ろうと動き出したとき、再び客電が消え、メンバーが三度現れた。「告 知です。アンケート用紙の下部に、メッセージを書く欄があるので、書きなさい。」とちょっと慌てた様子で平沢さん。そのメッセージは、今後のヴァーチャ ル・ライヴシリーズに封入され、見ず知らずのP-MODELファンのもとに届くという。一体どういう意味があるのだろうか。「インディーズならではの遊び です」という趣旨のことも述べられていたのだが、単なる遊びなのだろうか。

MCの後、なんと二回目のアンコールで「夢見る力に」が演奏された。演奏の後、平沢さんが不可解な行動をとった。左手を横に伸ば し、やや肘のところで曲げる。右手も同じようにして気妙なポーズを取って、一言、「ユンカース」。そして去っていった。消え際に福間さんは、客席に向かっ て手を振った。「バイ、バイ」。
 

 
 

さて、初めてのPライヴであったが、概ね満足である。やっぱり生で見聞きするのは、打ち込み大半といえども躍動感がある。それほど たくさんではなかったが、デストロイも見られたことだし。しかし、考えてみると、先のLive-phononは、ソロライブにしては異例のデストロイが あったことになる(少なくとも東京二日目は)。

一つ残念だったのは、全ての曲が「改訂」後のものに限定されていたことである。ソロ・インタラのごとく、新譜の大半の曲を網羅する のは良いとして、「Big Body」、「P-MODEL」あたりからも何曲か聴きたかった。ことぶきさんが居なくなってしまった今、「幼形成熟BOX」をライブで見るのは不可能だ ろうか。
 

〜曲目〜

1.論理空軍
2.ENOLA
3.Ancient Sound

MC1

4.ローレシア
5.BA-DA-DHA
6.Spiritus
7.Waste Cabaret
8.BOGY
9.FUNE
10.Mind Scape
11.Rehash
12.衛星ALONE
13.Moon Plant-II
14.COLORS
15.回収船
16.Layer Green
17.Rocket Shoot II
18.Heaven2000

MC2

19.DUSToidよ歩行は快適か?
 

20.ASHURA CLOCK(ENCORE1)

MC3

21.夢見る力に(ENCORE2)
 
 

冊子表紙    冊子Pページ
会場で配られた、平沢さんのインタビュー入り小冊子
 
 

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