P-MODEL
結成20周年プロジェクト「音楽産業廃棄物〜P-MODEL OR DIE」
ライヴツアーファイナル東京公演
1999年11月6日渋谷ON AIR EAST

*出演*
平沢進
小西健司
福間創
TAINACO-E



第壱幕 P-MODELに、花束を

今ツアー三度目の東京公演にして、今年最後のライブとなる、追加公演「音楽産業廃棄物取扱技能者総決起集会」(長い;)に行ってき た。今年は本当に平・P尽くめの年で、平・Pのライブだけで4回も足を運ぶという、私にとって異例の年になった。今までは、数年おきにしか来日しない海外 ミュージシャンのドーム公演にたまに行くくらいのものだったのだ。P-modelが20周年であることもあって、細かいイベントも含めると参加日数はもっ と凄い数となる。

金、土、日と、私の所属する大学が学園祭だったため、ライブ当日もギリギリまでそちらの方に参加していた。開場時間の10分前に EASTに着くと、もうすでに凄い人である。今回は、会場向かって左手の駐車場内での整列だった。ある方主催の、「P-MODEL結成20周年を祝って花 束を贈ろう」と言う企画に陰ながら参加させていただくことになっていたので、まずその方々とコンタクトを取った。このプロジェクトの他にも、花輪を贈った 人達や、寄せ書きを贈った人などたくさん居たようだ。例によって、私のチケットは300番代半ばとかなり後からの入場となったのだが、会場に入ると、思っ たほど後ろにはならなかった。ソロライブ「Live-phonon」の時もそうだったが、やはりWESTよりEASTの方が広いからだろう。中央若干小西 サイド寄りの半ばあたりに陣取ることができた。



第弐幕 小西氏、朗読す


今回は舞台と、客席側とに数台のビデオカメラがあった。舞台上のセットは、先の東京公演と同等である。広い分ゆったりと配置されて いて、小西サイドのシーケンサー群はあまり目立っていない。回を重ねるごとに、次々とゴミ袋で封印されたてきた機材は、ちゃんと次の公演に反映されている ようで、札幌で封印されたと聞き及んでいる銀グロタルボもちゃんと置いてあった。今回は、開演が若干遅かった。どうやら、PHOTONの調子がよろしくな いようである。スタッフがPHOTONを出したり引っ込めたりして調整していた。

10分ほど遅れてライブが始まった。舞台後方の二つのスクリーンに、「P-MODEL OR DIE」、「MUSIC INDUSTRIAL WASTES IS ・・・」というテロップが流れる中、外人女性の声で、P-MODEL OR DIEプロジェクトの宣言文の英語版がアナウンスされる。程なくして、小西さんが登場し、拡声器にて宣言文の日本語版を全編に渡って読み上げた。終わりが 近づくと、福間、平沢の順でメンバーが登場した。



第参幕 手段も卑劣に、押し寄せてくる


なんと、1曲目はいきなり「DUSToidよ歩行は快適か?」である。やはり、総決起集会ということで今までのライブとはひと味違 うようだ。どんな曲を披露してくれるのだろうか。期待が高まる。この時点で、全体的な音量は、意外に低めで聞き易かった。平沢さんの、「バーン、バーン」 時の振りは、大分板に付いてきたようだ(笑)。今回の「はい」はちょっとお疲れ気味。小西さんは、黒いベストに、赤いももひき(?)と鳶職のような姿。

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ここで、ある事件について書かねばならない。その事件とは、ある心ない人達が発端となって起きてしまったことで、不快以外の何物で もないため、あまり書きたくはないのだが、私の目の前で起こり且つ、これのせいでライブが中止になっていたかも知れない事件なので、広く知っていてもらい たく、敢えて書いておこうと思う。

確か1曲目と、2曲目の「回収船」の合間あたりで事件は起こった。黒い革ジャンとサングラスというロックンローラーのような出で立 ちの若い男性二人と、女性一人のグループが、さも当然のごとくかなり強引に、前へ前へと割り込んできたのだ。そのことを、私の右前方にいた男性がたしなめ ると、悪びれた態度など微塵もなく、逆に男の一人が注意した人を威圧的に突き飛ばしたのだ。

注意した人の方も相当頭に来ていたようだ。当然である。全く自分本位の迷惑な行動だったのだから。悲しいことに、殴り合いの激しい ケンカに発展してしまった。「あなた達のせいでライブが中止になってしまったらしょうがないでしょう!!」という女性の悲痛な叫びが聞こえる中、私もこの ままでは周りの人にも怪我人が出るし、第一こんなくだらないことでライブが本当に中止になってしまったら、情けなく悲しいので、二人を引き離しにかかっ た。悪いのは100%割り込んだ連中の方なのだが、相手は何を言っても何をしても通じない人に思えたので、とりあえずは場を収集しようと思った。絵空事で はない、男性同士の本当のケンカというのは、予想以上の凄い力で、押さえつけるのが大変だった。

エスカレートする前になんとかこのケンカは収まった。後で知ったことだが、平沢さんを初め、メンバーはこの騒ぎに気付いていなかっ たらしい。「もしステージの上からその一部始終が見渡せたのなら、私は即刻演奏を中止し、彼らを退場させただろう。退場しなければ演奏は再開しない。 (Ghost Web内PhantomNotesより引用)」。さすがのP-MODEL、曲がったことは見逃さないのだ。そういうことならば、平沢さんにSOSを送れば 良かった。

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第四幕 今夜も冴えてる、デストロイ


3曲目は「Waste Cabaret」。4曲目の「ASHURA CLOCK」では、待望の平沢さんのデストロイ・ギター。平沢さんがゆっくりブースから出て、デストロイが始まると、私を含め観客は沸き立った。やっぱり イかしている。毎回動きが微妙に違っているのだが、今回も新たなアクションがあったように思う。今回はスピード感のあるものだった。

4曲目が終わると、例によって一回目のMCが入った。「えー、こんばんは。」。音廃プロジェクト実行中であること、今回は30曲近 く披露すること、アンコールがないことなどが伝えられた。「というわけで、次の曲です。」

5曲目は「LAYER GREEN」。この曲から、マイクの調子が悪くなり始めた。今回も、間奏はシングルバージョンだった。6曲目の「Heaven 2000」では、小西さんベース。歌の一番は、マイクが全く入らずカラオケ状態。メンバーは気付いていない模様。間奏で、小西さんは中央寄りに出てきたの だが、平沢さんは結局ブースから出ることなく、平&コニダブルプレイは見られなかった。

7曲目は「Rocket Shoot II」。8曲目の「Rehash」では、ほとんどマイクが死んでいて音が出ていなかった。9曲目は「Mind Scape」。10曲目は「衛星ALONE」。11曲目の「ENN」では、やはり小西さんは印を結んだ。12曲目は「BOGY」。13曲目は「Moon Plant-II」。「Moon Plant-I」の方をやってくれないかと密かに期待していたが、ダメだった。14曲目は「COLORS」。まだ古い曲はやってくれない。



第伍幕 ユンカースに乗って、1980年に行きま せんか?


ここで今までの音廃公演で使われていた出囃子が流れ初め、メンバー一端退場。スクリーンには「1980」の文字が。「ここから第二 部突入か?」と胸が高鳴る。例の防菌服男が現れ、PHOTONにまでゴミ袋をかぶせハザードマークを付けてしまう。程なくしてこの男は、ユンカースの爆撃 に脅かされ、再び登場したメンバー達に、機材の封印を全て解かれてしまった。極めつけは、平沢さんのギター攻撃(ヘッドの先を男に向け攻撃する)。男はす ごすごと敗走していった。

出囃子は、15曲目の「論理空軍」と続く。今回はギター入りだった。いろんな制約(=廃棄物のレッテル)を受けながらも、レコード 会社(=防菌服男)の傘下で言いなりになっていたP-MODELは、ネット配信(=ユンカース)という手段を手に入れ、旧態然とした殻を破って、今まさに 飛び立とうとしているのだ。

さて、ここからが「1980コーナー」である。1st、2ndからの曲が続く。スバラシイ!解凍曲をやってくれなくても大満足であ る。まずは、16曲目にあたる「ルームランナー」。アレンジはバーチャルライブのものに似ているが、ドラム周りがより打ち込みっぽく強調されているよう だ。福間さんの手が、「ががが がががが がががががががが」と良く動く。17曲目は「サンシャイン・シティー」。イントロの「キーン」という一際高いギ ターの音が心地よく目立つ。平沢さんの声の裏返り具合も抜群である。小西さんはコーラスしていなかった。

18曲目は「美術館であった人だろ」。19曲目は「ミサイル」。各パートの音量が釣り合っていないのか、やや調子外れな感じ。しか し、直立不動で「それが愛だぜ それが恋だぜ」と歌う姿は、実に貴重なもので、感動した。間奏のヘンテコなギターソロも忠実に再現していておもしろかっ た。20曲目は「『ラヴ』ストーリー」。真顔での「あーっはっはっはー」に再び感動。間奏のブーミーな音がちょっとうるさかった。21曲目は、痛快な「ヘ ルス・エンジェル」。22曲目は「ダイジョブ」。「私しぶとい伝染病 ハッ!」の部分では、福間さんがちゃんと平沢さんの方を指し示していた。位置的にも 当時の秋山氏役である。これまた忠実なギター・ソロ。



第六幕 1999、再び


場内大盛り上がりの中、スクリーンに「1999」という文字が映し出され、再び1999年へと返ってきた。23曲目は「ローレシ ア」。この曲では、やはりデストロイがあったのだが、「Heaven 2000」でやらなかった分、モロ小西さんと掛け合いだった。前回の東京公演以上に二人は接近して、「これはもはやロックバンド」というくらいだった。で も、ギターを小西さんにぶつけないのはさすがプロ。コントロールもばっちし。

24曲目「Ancient Sounds」、25曲目「BA-DA-DHA」と続く。26曲目の「ENOLA」では、小西さんが道頓堀一号を下げてあちゃこちゃ動き回った。一方の平 沢さんは、力のこもった”JP叩き”。

ここで本日に二回目のMC。「というわけで、ツアー最後の曲です。」「えーーーっ!?」「やかましい」。今回初めて私も大声で 「えーっ!?」と言ってしまった。タイナコ・エンハンストの紹介と、フリーウェアで公開されるタイナコ・スクリーンセイバーの紹介があった。「因みに、対 応OS(スクリーンセイバーの)ですが、ワークベンチ・・・(観客笑)・・・何故笑う。Windows、MacOS。それから、エポック。(観客 笑)・・・何故笑う。・・・エポックとワークベンチで笑われるというのは・・・、なかなか・・・そういう感じであります。(観客笑)」。最後の曲として、 「ダイジョブ」のネット用サンプル版「Dai」が演奏されることになった。「20周年限定で、二度と披露はしないと思います。『Dai』をもって幕、とし たいと思います。」。『Dai』とは、タイ語で『大丈夫』という意味なんだそうだ。

というわけで、このプロジェクトの裏テーマ曲に相応しい最後の曲、「Dai」が演奏された。演奏が終わると、スクリーンに飛び去る 三機のユンカースのCGが流れ、その後、文字通り「だぁーーっ」と上から幕が下りてきて、ステージが全く見えなくなった。



終幕 さ、出口はこちらです


客出しの「Heaven」が流れる中、一向に客は帰ろうとしない。アンコールを求めてみんな頑張る。どうやら本当にアンコールは予 定にないらしく、スタッフの人が拡声器で外へ出るよう促すが、全く効果なし。ややあって、「やかましい!」との平沢さんの声がした。周りの人が後ろを向い ているので、もしやと私も振り返ると、二階席にメンバー三人が居た。「アンコールはやらないと言っただろう。帰れー!解散ー!」。余計喜ぶ観客に、「さ、 出口はこちらです。」「さぁ、帰りましょう!では、さようなら。」。かくしてツアーの全日程は、終了した。

***

このように素晴らしいライブだったのだが、傍若無人の三人組のおかげで、多くの人が迷惑を被ったのが遺憾である。現に、私も乱闘以 降、またいつ、連中が騒ぎを起こさないかと気が気でなかった。最後のMCの最中も、近くにいた女性(?)にしつこくからみ続けていた。酒が入っていたの か、向こうの方でとてもケンカをしたがってる様子であった。今後ともああいう態度なら、もうライブには来てくれるな、と言いたい。

さて、ウワサの12/26日に東京池袋サンシャインシティーにて行われるイベント、及びライブビデオの発売に関するチラシが配られ たので、載せておく。ライブビデオは、今年中に手に入れられそうである。
 
 

チラシ

(不鮮明な写真で申し訳ありません)



〜曲目〜

1.DUSToidよ歩行は快適か?
2.回収船
3.Waste Cabaret

MC1

4.ASHURA CLOCK
5.LAYER-GREEN
6.Heaven 2000
7.Rocket Shoot II
8.Rehash
9.Mind Scape
10.衛星ALONE
11.ENN
12.BOGY
13.Moon Plant-II
14.COLORS

15.論理空軍

16.ルームランナー
17.サンシャイン・シティー
18.美術館で会った人だろ
19.ミサイル
20.「ラヴ」ストーリー
21.ヘルスエンジェル
22.ダイジョブ

23.ローレシア
24.Ancient Sounds
25.BA-DA-DHA
26.ENOLA

MC2

27.dai

(曲目情報提供:YUKOさん)
 
 

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