1999年、P-MODEL は、結成20周年プロジェクト「音楽産業廃棄物〜P-MODEL OR DIE」を掲げ、同名新譜の発売とそれに伴う全国ツアー、楽曲のMP3配信、ヴァーチャルライブシリーズのリリース等々、精力的に活動してきた。その締め 括りとして、3部構成のトークイベント「ヒラサワ縁日」が、池袋で行われた。これはその模様の日記的簡易レポートである。
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(写真撮影禁止のため、トーク中の写真はありません。)
第壱幕 屋外待機
このイベントは、参加引き替え券が必要であるとかないとか、何時から始まって何が行われるのかという情報が不十分且つ錯綜していた 感があり、私自身当日何時に着くようにするか戸惑いがあったが、多くの参加券持参者は、席取りのため並んで待つことが許されるまさにその時間(午前8時) から並ぶようだったので、私もやや早めの9時にサンシャインに着いた。池袋というのは、近所といえる距離なので、自転車で行った。25分程度で行けるので ある。おそらくチャリで駆けつけたのは私ぐらいのものだろう。これは余談。
このようなイベント用の、並ぶためのスペースというのが設けられていたのだが、これが屋外だったので非常に寒かった。屋内はショッ ピングセンターなので並ぶわけにはいかないのは分かるのだが、とにかく寒かった。隣に並んでいる方はとてもフレンドリーな方で、温かいコーヒーを私にくだ さった。途中、中の様子を見に行くとお馴染みテスラカイトの平野さんや、バイオスフィアのおにーさんらが準備をしていた。
11時近くに、一度入り口近くに我々は集められ、引換券を参加券に替えてもらった。「ヴァーチャルライブー2」購入証明券も持って いた私は、大きな「音廃」ポスターを貰った。この時点で一端解散となったのだが、12時にまた最初の場所に整列せよとのこと。同じ事の繰り返しである。
第弐幕 VL-3発売記念トーク
寒さに耐えた甲斐あって、前のほうの椅子席に位置できた。50人ぐらいから後の人は立ち見である。段取り説明の「チェキッ娘」おじ さん(笑)がちょっとユーモアのある人だった。残念なことに、トーク中の撮影は一切禁止とのお告げがあった。「平沢さんトイレに行ってしまった」というこ とで、20分程遅れて1回目のトークが始まった。出演は、素敵な20周年記念本「音楽産業廃棄物」を作り上げた高橋かしこさんと平沢さんの二人。
まずは「ヴァーチャルライブ」について。「昔の曲はギターが多く入っているが・・・」「ギター弾くのはめんどくさ い。だから昔の曲をたくさんやった先の総決起集会は肉体的に疲れた。そんなわけで、最近の曲には元々ギターの音をあまり入れない。昔の曲のギターのコピー は大変。レコーディングに立ち会った人なら分かると思うが、私のギターというのはレコーディングが終わった時点で、二度と再現できないのだ。その後に演奏 するものは、よく似ているだけであって全く同じフレーズを弾くことはできない。」「(TAINACO-Eの絡みで)田井中さんとは最近交流は?」 「彼がお店を始めた関係で最近は交流がある。」。その他、過渡期のP-MODELライブの様子、アミガの弁護(笑)、記念本取材にあたっての苦労話等が話 された。
トークの後半に、平・Pにまつわるカルトクイズが行われ、勝者3人に賞品が出た。平沢使用済みの腕章&「音廃」ワッペン、「音廃」 パーカー、好きなところに生サイン(笑)の三つである。生い立ちに関わるものなど、難題続出で、私も弐問目で敗退した。こういうコーナーがあるというの は、平沢的インタラクティブで良いかも知れない。
第参幕 MP3配信関連トーク
弐回目からのトークは、椅子が取っ払われ、参加自由である。今度は、日経ネットナビ編集長の方と平沢氏との対談である。P- MODELのMP3配信サイト「P-PLANT」を実際にアクセスしての実演が行われた。MP3のなんたるか、P-MODEL楽曲のオンライン購入法など が淡々と説明された。我々コアな(笑)ファンには周知の事実なので、正直言って、私にはつまらなかった。よって詳細な記述は省く。
私はこの回、二階部分から見ていたのだが、通りすがりの買い物客が「何をやっているのか?」と覗きに来ることが幾度かあった。その 人達の反応は、概ね以下の通りである。「何?アニメ?」、「誰だ?ゲームか。」、「ベ・ル・・セルク?あぁ、催眠術だよ。」。確かに、一見さんには何を やっているのかピンとこないだろうが、いくらなんでも催眠術ということはあるまい。
終幕 DCベルセルク関連トーク
最後のトークは、ヤングアニマル・ベルセルク担当の方と、アスキーのスタッフ、そして平沢さんの三人である。確か始めの方で、平沢氏が 音楽を担当になった経緯、ゲームのウリなどが話された。アスキースタッフの方は、3Dポリゴンの出来具合を自慢げに語っていた。確かに、実際にプレイする ゲーム中のグラフィックは臨場感があり、ヴァーチャルなリアリティーもかなりのものだと思うが、ムービーでの人間味の表現というと、3D登場以来根本的に 変わっていないように思う。動きは、統合された曖昧さが見られず機械的だし、顔の表情などもやたらツルツルでロボットのようである。まだまだ2Dのアニ メーションの方が表現力は上だと常々感じている。
閑話休題。平沢さんからは、「割合規制なく曲作りが出来た。戦闘の曲で、プレイヤーを煽る事と、原作の持つ重厚なイメージを生かすこと の両立が難しかった。」、「三浦さん(ベルセルクの原作者)と私とは、どこか通じる物があると感じている。」、「平沢ファンというのは、奇異な目で見られ がちだが、ゲームの映像と音楽を一緒に見せれば、(氏の曲を)好きになってくれるかも知れない。」などというお話があった。
途中平沢さん自身が、「ガッツのアーティストイメージが下がりますよ(笑)」といいながらゲームをプレイする一幕もあった。それほどう まいわけでもく、下手というわけでもなかったが、テクノロジーを操る図がこんな場合でも非常に絵になる平沢さんであった。
最後に、新星堂でゲーム・ベルセルクのサントラを買った人を対象にした、生サイン色紙の抽選が行われた。120名の中から3名選ばれる ということだったのだが、くじ引きなどではなく、出演者3人がそれぞれ好きな番号を言っていくという責任重大(笑)なものだった。私の番号は120番中 001番だった(要するに最初に購入した)のだが、おそらく誰かが言うだろうと非常に慟哭の嵐に見舞われていた。予想は見事的中し、アスキーの人が私の番 号を宣言した。我々当選者三人は舞台の上に呼ばれ、順々にその場で平沢さんにサインを書いてもらった。「(サインを書くのは)色紙で良いですか?」「は い」。ΔP集会以来、久々に平沢さんとちょっぴり会話(と言う程のものではない)してしまった。ベルセルクということで、烙印マークも書き込んでくれた。 お陰でちょっと不気味な色紙となっている(笑)。最後に、握手をして貰うことを忘れなかった。
全てのトークが終わったのは16:30過ぎであった。平沢さん、ご苦労様でした。当日お会いした方々もお疲れ様でした。
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これが大まかな当日の模様である。イベント前、「縁日」ということで、平沢進・P-MODELに関わるグッズの展示などを期待していた のだが、蓋を開けてみると、ベルセルク体験ブースや、MP3デモブースなどがあったものの、基本的にトークショーのみであった。がしかし、4時間近いトー クというのも前代未聞であろう。現に、ショー自体が非常にフリートーク的であったこともあるが、量が多いので話の全てを思い出せない。
運良くサイン色紙&握手をゲットできたわけだが、嬉しいというのはもちろんなのだが、ちょっと申し訳ない気もした。これは、トークイベ ントに来るたびに感じていることなのだが、あまり気の進まないだろうこういったイベントにまた平沢さんを駆り出してしまったなぁという気持ちだ。でも、本 人結構楽しそうにしている(笑)ので、単なる危惧か・・・。